1章 Prologue

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(くそ! 間に合ってくれ!!)  俺は子供を脇に抱える。  大型トラックと俺との距離は後2~3メートルしかない。 (走っても絶対に無理だ。距離が近すぎる……) 「うらあああッ!!」  子供だけでも逃がすため、子供を公園の方向へ投げる。  放り投げられた子供はコンクリートに勢い良く尻餅を着く。 (なんとか子供だけでも助かったな……)  横目でチラリとトラックを見る。  俺とトラックとの距離は後数十センチに縮まっていた。 (これが走馬灯ってやつか……)  今までの沢山の記憶が頭に浮かんでくる。  あぁ……。今思えば母さんと父さんに恩返しすら出来ていなかったな……。父さん、母さん、こんな親不孝な子供でごめんよ。  そうしてけたたましいクラクションと共に意識はブラックアウトしていった。
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