7:夢かうつつか

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「見たんだよ。まさか私の目の前で、そんなことするなんて」 「久美子……あれは……」 これは、夢だ。 どんなにドキドキしたとしても、すぐに目が覚める。 何度もそう思いながら、強く目をつぶっては閉じるのを繰り返す。 それでも、鐘の音が聞こえることはなく、代わりに聞こえてくるのは、ますます甲高くなるばかりの久美子の声だった。 「翼くんは、私の大好きな人なんだよ? 千夏だって、知ってるくせに!」 「知ってるよ。 知ってるに決まってるでしょ……」 なんと言っていいのか分からない。 久美子の言葉はどれも正しかった。 だからこそ、鋭い刃となって千夏の心を切り刻んでいく。 なんとか言葉を返さなければいけないと分かってはいても、弱々しい声は、久美子の言葉をそのまま繰り返すばかりだった。
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