7:夢かうつつか

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「翼くんだけじゃないよ。千夏だって、私の大好きな人なのに! 千夏は私のこと、友達だと思ってなかったんだね」 「そんわけないでしょ。 私だって、もちろん久美子のこと大好きだし、友達だと……」 千夏は固い声で言った。 嘘じゃないはずなのに、胸がざわざわする。 心からの声でなければならない言葉が、まるで空っぽの空き缶のように、軽い音を立てて転がっていくような気がした。 「嘘つき」 久美子はもう声を荒げようとはしなかった。 ただ淡々と言葉をつなげていく。 それがかえって、彼女の怒りを表しているように思えた。 「友達だなんて、もう絶対に言わないで」 「ねえ、久美子……」 「最低」 低く囁くような声に、千夏は息をのんだ。 それから、もう一度久美子の名を呼んだものの、その声が彼女に届く前に、通話は終了させられていた。 後に残ったのは、通話が終わったことを知らせる機械音ばかり。 何の感情もなく、一定の間隔を保って鳴り続ける音が、千夏の頭の中をグルグルと回っていった。
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