平熱36度

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三階から一気に一階の昇降口へ。靴箱付近はあまり賑やかでなく、もう空の靴箱ばかりだろう。 靴を履き替え、門をくぐる。園芸部のプランターと花壇が並んだ坂を下れば、大きな通りにでた。 そこから駅まで歩いて、電車に乗って帰宅。自転車や徒歩通学者以外の生徒は大体そうだ。 「あれ、鈴村さん?」 二人の前を一人で歩いていた女子生徒に楓が声をかけた。先程見かけたばかりなので、流石に章太も覚えている。 呼ばれた女子生徒は振り返り、小さく手を降った。自然に二人が走り、距離がなくなる。 「えっと…三橋くんと……?」 「あ、俺は3の7の井上ってゆーの。七組のイケメンといえば、この俺でっす」 章太の事は知らないらしく、戸惑った様に話しかけた。それに対し、章太が聞き慣れたバカを言う。
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