413人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ、あはは、そうなんですか。わ、私は3の2の鈴村です」
「二組か、結構離れてるなー。担任怖いっしょ?」
「ちょっと、怖いですね」と答え、彼女は楓の方をみる。
「三橋君たちは今から帰り……ですよね」
「ああ」
じゃあ一緒ですね、と彼女は笑う。薄茶の髪の毛が陽に透かされ、一本一本が輝いて見えた。秋の色が移った様になる。やっぱり綺麗だ、と思ったりもする。
楓自身は濃茶、章太にいたっては真っ黒のため、陽に透かしても輝いて見えることはない。
見慣れていないものだからこそ、眩しかったのかもしれない。
「じゃ、俺はそこでお先にさよならってことなんで」
少し帰り道を進んだところで章太が言った。
信号のある十字路で章太は真っ直ぐ進むのだが、楓と臨は左折しなければいけない。章太は珍しい徒歩通学者で、たまに自転車もこいでいる。
最初のコメントを投稿しよう!