平熱36度

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「じゃーな」 「さようなら」 片手を上げ、グッバイと走り去る章太。今日は章太の好きなドラマが放送される。それの録画予約をするのだろう。 「井上君って、お家近いんですね」 「あー。歩いて30分だっけ」 「いいなあ」 章太がいなくなったことにより、二人きりになる。ただ、横に並んで帰る。それだけ。 「静かになったな…」 「はい」 騒がしい章太がいなくなり、静かになってしまった。何となく気まずい。 「これが普通……か」 「あ…はい…」 楓の口からふと疑問が漏れた。なんに対しての疑問かは楓自身しか知らないはずだが、適当に合わせて彼女が返事する。 楓の疑問とは。彼女が知る由もないものだ。 二人、実はつきあっているのだが、全くそんな素振りを見せない。 だから、楓と仲の良い章太もまだ二人のことを知らないわけで、楓の前で楓よりも早く彼女つくる、と宣言している。
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