平熱36度

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「だよな……」 「はい…」 彼女の方を見ると慌てて顔を逸らす。少しヘンだと思ったが、彼女の手に手をのばす。 手と手が触れ合った瞬間、肩がはねた。楓も驚き、手を戻す。 「…なんか、ごめん」 「い、いえ、こちらこそすみません」 ぎこちない会話。雰囲気は悪くなる一方。二人共目を合わそうとせず、無言で歩き続ける。 駅に着く頃には、二人共黙り込んでギクシャクが目に見える程になっていた。 「……俺、こっちのホームだから」 「じゃあ、さようならですね」 「じゃあな」 軽く挨拶をし、逃げるように改札をくぐる彼女。ああ、俺のせいか、と思った。 俺がもっと、優しくしてやれば良かったのかもしれない。無愛想な返しをせずに。つきあい始めのころは、こんなじゃなかったのに。 いつもそう思ってしまう。
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