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廊下にはまだ、まばらに生徒がいた。話し込む生徒、移動中の生徒、中には説教を受けている生徒の姿も。
その廊下の窓からは秋晴れの空が覗き、光が差し込んでくる。柔らかいその光は、彼らの足元に各々影をつくっていた。
その影のうちの一つ、楓の影がピタリと止まる。その視線は窓とは反対の方へ向いている。
「どうした?」
「…鈴村さんだ」
「ふーん…?」
章太は突然でてきた知らない名前に疑問を抱きつつも、とりあえず返事をする。
「同じ組の子?」
「おう」
そちらを見たまま固まった楓に、質問する章太。
「好きなの?」
「殴るぞ」
楓が固まったままなのを良いことに、ふざけた質問をする章太。止まった二つの影がまた動き始めた。
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