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もう駄目だと諦めかけたその時、何かが膝をついている俺の横をとんでもない速さで過ぎ去った。
それは怒りで震える男へ直進し、懐へと勢いそのままに突っ込んだ。
言葉では表現できない鈍い音がしたかと思うと、男はいつぞやの桐生先輩のように宙を舞う。
どぉおん、と地響きが鳴り、地面に打ち付けられた男は白目を剥いて気絶していた。
自分の一回りも二回りも大きな男を殴り飛ばした友樹は、その白く細い腕を下ろす。
そして澄んだ透明な声で吐き捨てた。
「俺はCastleのBellだ、せめて名前が言えるようになってからくるんだな。もっとも、俺の大切な人を傷つけたお前らに次の機会はねぇけどよ」
ふ、ふぉぉぉおお、友樹が輝いてる!
もじゃもじゃでなくなったからかいつもの3割増しキラキラしてる。
前々から滲み出るイケメンオーラは発してたけど、いざイケメンになってみると直視できないな。
俺が友樹の格好良さに内心悶えている間に、友樹は男に手錠をかけて芋虫のように縄でぐるぐる巻きにしていた。
どこからその手錠と縄を出したんだ友樹さん。
目が覚めても動けないように拘束し終わり、友樹は俺の元へ歩いてきた。
顔色は悪く、目には心なしか涙が浮かんでいる。
「ともちゃん…」
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