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見慣れた黒いもじゃもじゃに、思わず目を見開く。
「ちょ、バカともちゃん!何出てきてんの!?」
「あぁ?んだてめぇ」
ナイフなことを忘れて叫んだもんだから、刃の位置がずれて痛かった。
…痛ぁ。
「なぁ、お前らベル捜してんだって?」
「そうさ。でもてめぇにゃ関係ねえだろ。お家に帰ってアニメでも見てろやキモオタ」
「そんなこと言っていいのか?俺はベルを知ってんだぜ」
えぇ!?マジかよ。
「…嘘じゃねぇだろうな」
男はそう言いながら暗い目に暗い光を灯らせた。
べ、ベルって人、出てきたら殺されちゃうんじゃないか。
相当執着されてるみたいだし、あの目はヤバい。
俺の心配をよそに、友樹は怯えることなく1つ頷いてみせた。
「ベルが来たら、そこの2人解放してくれるよな」
「…あぁ」
男は承諾したけれど…。
なんだか妙な間があったのが気になるな。
もしかして…ベルが来ても無抵抗にしてボコボコにするために俺達を解放しないつもりなんじゃ。
そもそもベルとは知り合いじゃないし、ベルが俺達のためにやってくるかどうかは分かんないけどさ。
「ベルは来るよ」
まるで俺の心を読んだかのように、友樹は言い放った。
瓶底眼鏡越しにも分かる真っ直ぐな目でもう一度、今度はゆっくり呟くように言う。
「ベルは、来る」
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