2463人が本棚に入れています
本棚に追加
「「いきなりちゅーするからびっくりしたよ」」
「気に入った?」
双子先輩の問いかけに桐生先輩は答えなかった。
ただ水門先輩の頭をポンポンと叩きポツリと呟くと、桐生先輩が殴られたことに未だ反応できずにいる周囲の生徒をぐるりと見渡した。
「おい!よく聞け!今回のことは俺様がしたくてしたことだ。制裁なんて舐めた真似すんじゃねぇぞ」
腕を組んで仁王立ちする桐生先輩からは、口答えを許さない王のオーラが出ていた。
ごくり、誰かの唾を飲む音が聞こえる。
困ったな…いつもだったら日向先輩が優しく冷静に解散を呼びかけるのに、鈴原追っかけてここにいないし。
緊張で張りつめた空気の中、俺はがしがしと人工の金髪を掻いた。
「はーいはい、みんなぁご飯食べたらきょーしつに戻ってねぇ。もうすぐ授業が始まるよー」
あっけらかんとした俺の言葉が響く。
固まっていた生徒たちは、ゆっくりと行動を開始する。
そしてざわめくことなく食堂から出て行く。
桐生先輩はその様子を気にかけることもなく、また俺達に声をかけることもなく豪華な扉から去っていった。
「…俺達も帰ろっかぁ」
爽やかとわんこと双子の頷きで、清城学園の食堂イベント?は幕を閉じたのだった。
最初のコメントを投稿しよう!