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不自然な程確信を持った友樹の言葉を男たちはハッと鼻で笑う。
しかしその笑い声には抑えきれないのかほんの少しの期待が混ざっていた。
「ははっ…じゃあ連れてきてもらおうかキモオタさんよぉ」
「凛灯、お前は自分勝手な奴だよ」
男を軽く無視し俺を見つめてそう言った友樹に、えっと佐久間君が戸惑ったように声を漏らす。
俺は、友樹から視線を逸らさずすっと目を細めた。
友樹は少し口角を上げると、瓶底眼鏡に手をかける。
そしてゆっくりそれを外すと地面に放り投げた。
「い、いきなり何してんだてめえ。さっさとベルを呼ばねえか!」
「お前らが!」
そう怒鳴り返し、友樹はもじゃもじゃの髪の毛に手を突っ込んだ。
一体どこにそんなについていたのかヘアピンがボロボロと出てくる。
一瞬躊躇うように動きを止め、しかしキュッと口を引き結ぶと友樹は勢い良く髪の毛を引っ張った。
毬藻のような髪の毛がズルリとずれる。
下からゆるくうねった暗い赤茶色がするりと零れ出た。
肩より短い長さのそれをうざったそうにかきあげ、友樹は前を向いた。
日に焼けていない白く透明な肌や光の加減でキラキラ輝く黒い瞳、今までウィッグで隠されていた顔が露わになる。
「探してんのは、俺だろう?」
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