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え…と、誰が呟いたと思ったら、どうやら俺の声だったらしい。
誰も反応できず、変装、だったのだろうか、それをといた友樹の姿に言葉を失う。
ど、どういうことだ、この美少年が友樹の本当の姿だってのか。
そして、男達が探しているベルだと…?
混乱の中、友樹の声が響く。
「凛灯!!」
次の瞬間、俺の体は反射的に動いていた。
友樹の声だ。
姿は違っても、いつだって真っ直ぐな友樹の声だった。
喉元に突き付けられているナイフが食い込まないように、男の手を慎重に素早く動かす。
少し首とナイフの間に隙間ができたのを確認して、俺は男の腕に噛みついた。
「ぎゃあ!」
友樹に気を取られていた男が驚き力を緩めた隙に、俺は男の手にしがみついた。
ナイフを奪い取り右手で持ち、思いっきり肘鉄を逆の腕でかます。
その反動で勢いをつけ、男の腕から何とか逃れた。
緊張か焦りか、力が入らずよろめいて膝をつく。
「てめぇ…なめんじゃねぇぞ糞餓鬼が」
後ろを振り返ると男は数歩よろめいただけのようで、肘鉄は致命傷にまで至らなかったらしい。
脇腹を押さえながら、血走った目でこっちを睨んでくる。
こ、ここ怖ぇぇぇぇぇぇ!
俺ご臨終のお知らせ!!
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