6.竜胆と菖蒲

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え…と、誰が呟いたと思ったら、どうやら俺の声だったらしい。 誰も反応できず、変装、だったのだろうか、それをといた友樹の姿に言葉を失う。 ど、どういうことだ、この美少年が友樹の本当の姿だってのか。 そして、男達が探しているベルだと…? 混乱の中、友樹の声が響く。 「凛灯!!」 次の瞬間、俺の体は反射的に動いていた。 友樹の声だ。 姿は違っても、いつだって真っ直ぐな友樹の声だった。 喉元に突き付けられているナイフが食い込まないように、男の手を慎重に素早く動かす。 少し首とナイフの間に隙間ができたのを確認して、俺は男の腕に噛みついた。 「ぎゃあ!」 友樹に気を取られていた男が驚き力を緩めた隙に、俺は男の手にしがみついた。 ナイフを奪い取り右手で持ち、思いっきり肘鉄を逆の腕でかます。 その反動で勢いをつけ、男の腕から何とか逃れた。 緊張か焦りか、力が入らずよろめいて膝をつく。 「てめぇ…なめんじゃねぇぞ糞餓鬼が」 後ろを振り返ると男は数歩よろめいただけのようで、肘鉄は致命傷にまで至らなかったらしい。 脇腹を押さえながら、血走った目でこっちを睨んでくる。 こ、ここ怖ぇぇぇぇぇぇ! 俺ご臨終のお知らせ!!
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