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「怪我は」
「ん、首のとこだけだよ」
「そうか…」
友樹はポケットからハンカチを取り出すと、俺の首にあてた。
せっかく止まってたのに、動いたらまた流血したみたいだ。
友樹は口を開いたけれど、何も言わず閉じてしまった。
俺はそんな友樹の頭に手を乗せた。
驚いて瞬きをする友樹に笑いかける。
「キレイな髪だねぇ、それに顔もとっても可愛い。これじゃあいつらがともちゃんを探してぇ学園にまでやって来ても仕方ないねぇー」
「そ、んなこと…」
俺は友樹の唇に人差し指を押し当て、顔を近づけた。
黒い瞳に、月が浮かぶように金色の光が差し込む。
光の加減で2色になった瞳を見つめて俺は言い切った。
「いい?悪いのはあいつらだよぉ~。100%あいつら。ともちゃんに責任なんて、これっぽっちもないんだからー」
あ、月が崩れた。
黒と金の境界が曖昧になって、池に雨が降ったように瞳の景色が滲んだ。
そのまま瞳から景色が零れ出たのを見て、俺は友樹を抱きしめた。
友樹は震えながら、俺の肩を濡らしていく。
「り、凛灯が、ナイフ、突きつ、けられて、血、が出て、俺、心臓が止ま、るかと、思っ…ひっ、うぅ、俺、のせ、俺の、俺が…」
「ともちゃん」
「ふっ…えぅ」
「助けてくれてありがと」
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