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樋本はその様子にあ゛ーやらう゛ーやら唸りながら後頭部をガシガシ掻く。
イライラと顔を歪めあぁくそ、と悪態をついたかと思うと、突然思い切り隣の彼を抱き締めた。
「!?」
「……あー、のよ…もう、危なくねぇよ。立花も大した怪我してねぇし犯人もぶっ飛ばした、だから、その………チッいつまでも泣いてんじゃねーよカス、男だろうが!シャキッとしやがれ!」
最後ぉぉぉーーー!
途中まで頑張ってたのにどうして最後怒っちゃったんだい!
慰めるなんて慣れないことだけどさ!
あとほんの少し優しさと忍耐力を!!
心の中の全力のツッコミなんて知らない樋本は、怒鳴った後プイッとそっぽを向いてしまった。
いきなり抱き締められ怒られた佐久間君は、びっくりしたからか涙が止まったようだ。
大きく見開かれた目からポロリと最後の雫が頬を伝った。
えっ…と、もしかして樋本が怒ったのって照れ隠し、なのか?
てか…俺の胸にしがみついたまま大泣きの友樹、抱き合ったまま固まった2人、未だ展開に着いていけずざわついた全校生徒+α。
一体誰がこの場を収拾できるんだろう?
困ったなぁと途方に暮れかけた時、放送の機械音が鳴り響いた。
全員の意識がスピーカーに集まる。
「あ、あー、聞こえているな貴様ら」
この声この口調、まさか桐生先輩?
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