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生徒たちの不安は、桐生先輩のおかげですっかり払拭されたようだ。
俺の指示で大人しく立ち上がり退出していく。
普通だったらもっとパニックになってもいい状況だけど、この学園での会長様の存在はそれほど大きい。
あと会計様も。
と言うより、生徒会、が正しいのかもしれないが。
頭の片隅でそんなことを考えながら全員を誘導し、俺は一息ついた。
「立花君」
馴染みのある声で呼ばれ、振り返る。
いつの間に来たのかそこには雅弥さんが立っていた。
涼しげな目元を歪め、険しい表情をしている。
他の先生もいるからか名字で呼ばれたけれど、俺が花山院だと知っている人にそう呼ばれると微妙な気分になるものだ。
「詳しい話が聞きたい。理事長室まで来てもらえるかい」
…何だか警察に捕まった犯人みたいだ。
直ぐにでも連れて行きそうな雅弥さんを一旦落ち着かせて、関係者として残ってもらった友樹たち3人も連行する。
他の先生は詳しい事情が分かるまで職員室で待機。
ぞろぞろと連れ立ってやってきたのは理事長室。
生徒会室ほど大きな扉や部屋ではないけど、使われているものは全て高級品ばかりだ。
物珍しそうにキョロキョロする3人に、雅弥さんは優しく笑いかけ座るよう促した。
ちなみに今俺たちが腰掛けたソファーはウン百万の革張りだ。
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