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まるで少年マンガの双子の弟に仕える忍者庶務みたいな外見の、つり目の強面の名前は樋本聖―とよもとひじり―。
S組のイケメン不良として有名な親衛隊持ちだ。
「ひーちゃんが人といるなんてぇ珍しーねえ」
「てめえに関係ねぇだろうが」
ひーちゃんって呼ぶんじゃねぇ、とガンたれてきたがへらへら笑ってごまかす。
盛大に舌打ちをかまされたところで、また後ろから爽やかな挨拶が聞こえてきた。
「皆おはよう」
キラリと歯を見せ微笑んだ空斗は後ろから近づいてきて、俺の耳元でぼそりと呟く。
「一匹狼懐柔フラグGJ」
意味分かんね。
「聖、あんまり人にケンケンするんじゃねえよ」
そうたしなめた鈴原に樋本はあっさり頷き引き下がる。
どこが一匹狼だこれ。
水門先輩とはまた違ったわんこ臭がプンプンするぞ。
「ドーベルマン、だねぇ」
「へ?」
不思議そうな顔をされ何でもないよーと返す。
「樋本が誰かといるなんて珍しいね」
そういえば、と俺と同じことを言った空斗をギロリと睨んだが、鈴原にこらっと叱られ渋々口を開いた。
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