1.竜胆と木藤

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まるで少年マンガの双子の弟に仕える忍者庶務みたいな外見の、つり目の強面の名前は樋本聖―とよもとひじり―。 S組のイケメン不良として有名な親衛隊持ちだ。 「ひーちゃんが人といるなんてぇ珍しーねえ」 「てめえに関係ねぇだろうが」 ひーちゃんって呼ぶんじゃねぇ、とガンたれてきたがへらへら笑ってごまかす。 盛大に舌打ちをかまされたところで、また後ろから爽やかな挨拶が聞こえてきた。 「皆おはよう」 キラリと歯を見せ微笑んだ空斗は後ろから近づいてきて、俺の耳元でぼそりと呟く。 「一匹狼懐柔フラグGJ」 意味分かんね。 「聖、あんまり人にケンケンするんじゃねえよ」 そうたしなめた鈴原に樋本はあっさり頷き引き下がる。 どこが一匹狼だこれ。 水門先輩とはまた違ったわんこ臭がプンプンするぞ。 「ドーベルマン、だねぇ」 「へ?」 不思議そうな顔をされ何でもないよーと返す。 「樋本が誰かといるなんて珍しいね」 そういえば、と俺と同じことを言った空斗をギロリと睨んだが、鈴原にこらっと叱られ渋々口を開いた。
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