1.竜胆と木藤

21/29
2450人が本棚に入れています
本棚に追加
/277ページ
「おい、てめえら離れろ。友樹に触んじゃねぇよ」 べりっと剥がしにかかる樋本に抵抗して両側の二人を抱き込む。 「だあぁ!離れろっつってんだろーがっ!」 「いーやーだぁーそんなに羨ましいならひーちゃんもまざればいーじゃんよぉ」 「なっ…」 ぶーぶー口を尖らせ言った文句に樋本は押し黙る。 目元を薄く赤らめ、そっぽを向いてしまった。 「うふふ、樋本なかなかいい腐要素、うふふふふ」 「…?」 なんでまざらないんだろう。 羨ましいんじゃなかったのか? 男同士でなに遠慮してんだか。 鈴原と顔を見合わせ首を傾げる。 「聖」 「…んだよ」 「ほら」 鈴原はあいている左手を広げおいでと樋本を呼ぶ。 その行動に樋本は目元の朱を濃くした。 「反則だろ…」 そう樋本が呟いた時、ガラガラと扉を開け担任が入ってきた。 ダルそうに名簿を肩に乗せながら教卓へ歩いてくる。 「キャー!先生が来たよー!」 「抱いて下さい!」 「はいはい、先生が来るのは当たり前だろさっさと席着けよー」 仕方なく俺は空斗と鈴原から手を外し自分の席へ向かう。 三人もそれぞれ自分の席に着いた。
/277ページ

最初のコメントを投稿しよう!