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あぁ、クソが。
ことごとく後手に回っているのが腹立たしい。
Uとカタマリに巻きついたロープを睨むも、俺にはどうにも出来なくて苛立ちが増す。
Uはこちらをチラリとも見ずに、愉快そうに自分の手首のロープを撫でた。
その先がカタマリに繋がっているのをしてやったりとでもいうようにほくそ笑む。
『ようやく、ようやく捕まえた。あっはは、俺の勝ちだ』
【俺ノモノダ…ヤラン……俺ノ…俺ノ】
『これで、終わりだよ』
そうUが告げた瞬間、ロープがグッと真ん中から沈み込んだ。
まるで水面に広がる波紋のように、床に何重もの円を揺らしながら消えていく。
ゆっくり、ゆっくりとUとカタマリもロープに引っ張られ足元から沈んでいく。
カタマリは自分に何が起こっているのか理解したらしい、ブツブツ呟くのを止め、激しく抵抗し始めた。
【ヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロ!俺、俺ハ死ナン、死ナンゾ。賤民ゴトキガ、離セ!!】
ぐちゃぐちゃと醜い音を立ててロープはきつくカタマリを締め付けていく。
それはカタマリがもがけばもがく程、また喚けば喚く程強くなっているようだった。
【ヤメロ、ヤメロ!俺ハ死ナン!!俺ハ死ナン!!!俺ハ】
いよいよ首の辺りまで沈み込んだカタマリが一層激しく抵抗すると、沈むばかりだったのが少し浮き上がる。
チャンスとばかりに伸ばしたドロドロの右腕が、空気をかき混ぜる。
ハハっと嬉しそうな卑しい笑い声が聞こえたと同時に、俺の目はとんでもない光景を映した。
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