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全員が席に着いているのを確認すると、担任は俺を見ておっと声をあげた。
「凛灯が朝から来るなんて珍しいな、仕事は終わったのか?」
「それは言いっこなしだよぉたかちゃーん」
俺の返しにまたお前はサボって、と呆れるのは2S担任志波隆宏―しばたかひろ―。
グレーのスーツを着崩し色を抜いたり染めたりで痛んだ髪を無造作に流す姿は、どっからどう見てもホストだ。
でもその外見に似合わず担当教科は国語総合で、今は2Sと3Sの古典を担当している。
ちなみに口にくわえているのは煙草じゃなくてペロペロキャンディーだ。
前に煙草好きだねぇと言ったら、生徒の前で煙草なんか吸えるかと頭をこづかれた。
ヘビースモーカーだから吸わないのは苦しいだろうに飴で我慢しているみたいだ。
「…はい、連絡はこれで終わり。次の授業の用意して静かに待ってろよ」
そう言って志波先生は教室からふらふら出て行った。
途端にざわめきだす生徒の中で俺は目の前の背中をツンツンつついた。
「ねーねー」
「ん?どしたよ凛灯」
くるりと振り向いた空斗に俺は斜め前を指差した。
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