8.竜胆と千日紅

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そうつっかえながらも伝えると、Uはヒャッヒャと笑った。 『うーん、まだまだだなわんころ。それじゃ30点だ』 それじゃあ俺が隆宏に会いたがったことに理由がつかないだろ。 そう言うとUはゆっくりと目線を志波先生へと向けた。 Uのことが見えていない先生は、当然目線に気がつかない。 『俺の体はあいつへの憎しみでできてる訳じゃねーよ』 Uは手の平を前へと差し出す。 ゆらゆらとまるで水を掻くように動かして、絡みついているロープも一緒に漂う様に破顔した。 『この体は信じられないほど不便で不安定だ。あいつへの恨みだけじゃ俺は自分を保ってられねぇだろうな』 「……恨み…幽霊…なる……理由…普通…………U…違う……?…」 『あぁ、そうだ。最初に言ったろ、会いたい奴がいるって』 「……それって…」 『………さっきのカタマリは、志波隆文─しばたかふみ─。ついさっき死亡したことで志波家当主の座を降りた、隆宏の実父だ。俺はあいつの目的を妨げるために幽霊となった』 あの化け物が、志波先生のお父さん…? 「…あれ……穢れ…たくさん…殺した……そんな………父親…?」 『そうさ、信じられねぇだろ?でもあれは正真正銘隆宏と血の繋がった男だ』 は、と漏れた息の音で、自分が呼吸をとめていたことに気づいた。
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