2464人が本棚に入れています
本棚に追加
そうつっかえながらも伝えると、Uはヒャッヒャと笑った。
『うーん、まだまだだなわんころ。それじゃ30点だ』
それじゃあ俺が隆宏に会いたがったことに理由がつかないだろ。
そう言うとUはゆっくりと目線を志波先生へと向けた。
Uのことが見えていない先生は、当然目線に気がつかない。
『俺の体はあいつへの憎しみでできてる訳じゃねーよ』
Uは手の平を前へと差し出す。
ゆらゆらとまるで水を掻くように動かして、絡みついているロープも一緒に漂う様に破顔した。
『この体は信じられないほど不便で不安定だ。あいつへの恨みだけじゃ俺は自分を保ってられねぇだろうな』
「……恨み…幽霊…なる……理由…普通…………U…違う……?…」
『あぁ、そうだ。最初に言ったろ、会いたい奴がいるって』
「……それって…」
『………さっきのカタマリは、志波隆文─しばたかふみ─。ついさっき死亡したことで志波家当主の座を降りた、隆宏の実父だ。俺はあいつの目的を妨げるために幽霊となった』
あの化け物が、志波先生のお父さん…?
「…あれ……穢れ…たくさん…殺した……そんな………父親…?」
『そうさ、信じられねぇだろ?でもあれは正真正銘隆宏と血の繋がった男だ』
は、と漏れた息の音で、自分が呼吸をとめていたことに気づいた。
最初のコメントを投稿しよう!