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『俺と隆宏が出会ったのはまだ小学生の時だった。俺は使用人の息子で、隆宏は志波家の跡取り。当然堂々と友達にはなれなくていつもこっそり会って遊んでいた。
そんなことを続けて3年くらい経ったある日、俺はあいつに部屋へ呼ばれて隆宏とはもう会わないよう命令された。どうやら誰かがチクったらしい、バレてしまったと気づいた時には既に俺は両親から殴られ監禁されてしまっていた。
隆宏に会わないと。
何とか家を抜け出し真っ暗な田舎道を走っていた俺は必死だったから気づかなかった。後ろから走ってきたトラックにな。
ハッと振り向いた時には目前までトラックが迫っていた。運転手と目が合った。
隆宏の父親の秘書だった。
ふと目が覚めた俺が見たのは、秘書が俺の体を穴に埋めようとしている姿だった。
叫んで殴りかかって止めようとしたけれど意味がなかった。秘書をすり抜けた拳に呆然とする俺は、秘書の独り言に更に唖然とした。
「あぁ、こんな若者を殺すなんて…今までたくさんの人間を殺すよう命じられてきたがこんなに心が痛むのは久しぶりだ。特にこの子は坊ちゃまのお友達であるのに…。
はぁ、こんな生活いつまで続くんだ。旦那様がお亡くなりになったらか?いや、旦那様は最近呪術師の家と頻繁に連絡をとり、死後生者の体を奪う方法をお聞きになっているからな。恐らく死してもなおこの世に留まるおつもりだろう。しかも、どうやら術が成功しやすいのは血縁者らしい…まさか、坊ちゃまの体を……。
いや、これ以上考えるのはやめておこう。さぁ、せめてこの子を丁重に埋めてあげようじゃないか」
あぁ、ショックで頭が朦朧として、それなのに一言一句違わず覚えてる。
秘書は暫くして去り、俺はただただ立ち尽くすしかなかった。それから何度目かの朝が来たときに、漸く自分が幽霊となった訳に思い至った。
きっとこれは、神様が俺にくれた最後のチャンスだ。成仏してねぇんだから、たとえ幽霊でも何とか隆宏が自分と同じ目に合わないよう守る方法があるはずだと。
そこから先はてめぇも知っての通りだよ。立花凛灯の体にとり憑けたのは僥倖だった。ギリギリあの化け物が死ぬ前にここへ来れた。
本当は誰にも知られないように事を終わらせるつもりだったんだけどな。
まさか「俺」がみえるやつがいるとは思わなかったぜ』
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