1.竜胆と木藤

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「んなこたどうでもいい。それよりこっちだ」 面白くなさそうにこの話を終わらせた桐生先輩に、日向先輩はひょいと肩を竦めそれ以上は言わなかった。 拗ねられたら面倒だとでも思ってるんだろきっと。 まぁ確かに拗ねた桐生先輩はめんどい。 それでも俺はもう少し続けたかったけど、他全員が聞く体制になったのを見て渋々頬杖をついた。 基本話は聞かないチャラ男なんで大体大事な話の時はこんな態度をとってる。 最初の頃は日向先輩にガミガミ言われたけど今では日向先輩も気にもとめてない。 桐生先輩がヒラヒラ振るのはさっき俺が仕上げた会議の紙。 そう、今は5月。 入学式が終わり新しいクラスにも慣れてきた頃。 っても大きなクラス変動はないんだけど。 S~Fまで家柄や勉学、スポーツに容姿、生活態度などによって上から決まっているから、親が結婚してやちょっと勉強頑張ってなどあってもそうそうクラスが変わることはない。 それに長く共に過ごしたクラスメートだ、クラス変えの権利を得たほとんどの生徒が辞退する。 そんなことはまぁ置いといて。 変わり映えしない顔ぶれだとしても学年が上がった時に親睦を深めるという名目で行う行事がある。 生徒会役員は桐生先輩が振った紙を見てその行事の事だと理解してあぁと頷いた。
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