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「んもー、ちょっと待ってよひゅーちゃん。今授業終わったとこなんだよぉ、もう少しゆっくりしよーよー」
「寝てたくせに何が疲れるのです。仕事があるんですから急いで下さい」
厳しいことを言ってくるのは一つ上の先輩、副会長の日向麻怜―ひゅうがまれい―。
サラサラの紺色に近い黒髪を耳のあたりで切りそろえて、銀フレームの眼鏡から覗く青みがかった瞳は常に冷たく光っている。
いつもニコニコしてるけど、俺は心の中で愛想笑い魔神と呼んでいる。
言ったら命が危険だから秘密だけど。
これ以上待たせるとブリザードが吹き荒れるので、俺はよいしょと立ち上がる。
日向先輩怒らせると怖いんだよな。
「まったく、あなたは会計なんですから一々私が迎えに行かずとも生徒会室に来て下さいよ」
また副会長様がいらしてる
いつ見ても会計様と並ばれると本当に美しいよね
周りのうっとりしたざわめきはスルーして、日向先輩の横に並ぶ。
そして二人で生徒会室へ歩き出す。
ランキングの関係で会計様になってしまってから、日向先輩がキャラ上サボリ魔の俺をクラスまで迎えに来る光景は生徒たちの間で人気らしい。
これから変わり映えのしない日常が動いていくなんて、この時の俺は考えもしなかった。
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