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今日も日向先輩に連れられやってきた生徒会室。
回ってきた書類の中に珍しい紙があった。
「転入生?」
思わず呟いた言葉に、斜め前に座っていた彼が顔をあげる。
「転入生だなんて久しぶりだな。しかもやけに中途半端な時期に来やがる」
赤メッシュが入った髪をかきあげながら言ったのは日向先輩と同じ三年生の桐生天音―きりゅうあまね―。
桐生家の跡取りで基本何でもこなせる天才型の俺様何様会長様だ。
傲慢な台詞が多いのに不自然じゃないのはこの人ぐらいだと思う。
赤のカラコンを光らせながら、桐生先輩は日向先輩を見る。
その視線に気づいた日向先輩はじっと受け止めたあと、ため息をつきながら俺のところまでやってきて書類を手にとった。
「では一週間後の朝案内に行きますので私の分の仕事お願いします」
その言葉に桐生先輩は頷くとまた仕事を再開した。
うーん、いつもこの二人コンビ仲っていうか相性が抜群だな。
何で日向先輩は視線だけで理解したんだろうか。
俺には見つめあってるようにしか見えなかった。なんだか夫婦みたいだ。
しばらくしたらまた午後の授業が始まる。
それまでにあと数枚はやっつけてしまおうと俺は再びペンを手にとった。
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