新入りという名のもとに

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ナカジ始めこそダラダラしてい たが、そこまでやり直しを食ら うほどには第三者の眼から見ても 見えなかった。 ただこれには意味がある。 見せしめと言う見えない圧力だ。 官側の心理としては (お前らしっかりや らないとこうなるからな) と言う警告だ。 この手は官の常套手段だ。 結果、ナカジは運悪く見せしめ 要員にさせられてしまった。 ナカジが工場に入りナカオ、俺と 続いて行く・・・ 全員無事に入った。 オヤジが指定した役席に座り、 黙想して待てと指示してきたので 素早く席に座り黙想する。 席は二列のなが机になっていて 俺は、前の机でオヤジが立つ位置 の目の前だった。 席に座る前に工場に三人知らない 顔がいるのを確認していた。 おそらく訓練の後期生だろう。 新入訓練は二週間行われて、一週 目を前期、二週目を後期と分ける。 俺たち六人は一週目だから前期。 残りの三人は二週目になるから 後期となる。 言わば先に訓練工場にいる先輩だ。 三人の名前はぽっちゃりが岐阜の イケト山○組系黒○会の人間だと 言っていた。 ほかの二名は記憶が薄れているの で思い出せない。 後期生は紙おりの作業をしていた。 俺たち前期生は皆、黙想のまま 指示を待つ。 「前期生黙想やめぇ」 とオヤジが言ったのでオヤジに 注目する。 するとオヤジが一人一人に衣服を 渡し渡された者から工場着に着替 えろと言った。 俺は渡されたら直ぐに着替えそし てまた黙想で皆が着替え終わるの を静かにそして不安を覚えながら 待った。
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