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俺の話を聞き、医者が
「ふうん‥‥体調は悪いと‥‥」
独り言のように呟いた。
「い‥‥いや、精神的体調は
良好です。ただ、肉体的体調が
悪いのです‥‥ならば肉体的疾患
の病棟に行けませんか?」
まともな人間が居る病棟に
移れるか聞いてみた。
「ここは元の施設が申請した
病気しか治さないんだ。
精神なら精神、
肉体なら、肉体とね。
頭で来た人間が怪我しても、
病棟を移るのは無理だね」
医者が俺に諭すように話した。
「ああ、そうですか‥‥‥‥
そうですよね。
僕は松本少年刑務所にいる頃、
軽い安定剤、ヒル○ミンを飲ん
でいたのですが、その投薬で
いいのかどうか確認に
来ただけなんですよ‥‥‥‥」
早く帰れるように俺は話を
変えた。
「ふうん‥‥えぇと‥‥
視線はまとも、と」
医者が俺を観察している。
「そう‥‥まともでしょ」
そう俺は答え、まばたきを
パチパチする。
それを見た医者は
「口調も‥‥まとも、と。
アイウエオ、カキクケコと
言ってごらん」
と俺に言ってきた。
「アイウエオ‥‥カキクケコ」
俺は普通に言う。
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