『苦い雨は枯れた。』

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シュークリームのような入道雲が、遠くの真っ青な空に悠然と浮かんでいる。 八月真っ只中の今。 私は、窓辺に座る。 珍しく蒸されるような湿度はなく、からっとはれてた今日。 開け放たれた窓からそよそよと吹いてくる風が、前髪を揺らした。 まぶしさに細めた眼。 「私は今日、死ぬはずだった」 生きる意味。 そんなもの、少し前まではなかった。 静かに訪れる時限爆弾。 解く術がないものは、現状を飲み込むしかない。 赤い線、青い線。 それを見つけ出して、的確に正しい方を切断したというのであれば。 神様の悪戯。 そう、だから私は、その神様と一生をともにすることにした。 悪戯が与えたのは、温度。 「おぉティア、ここにいたのか」 私の、名前。 彼の方を向いた。 頭をなでる、大きな手。 あれは、ほんの三ヶ月前のことだった……。 * * *
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