0人が本棚に入れています
本棚に追加
公園にはいくつものちらちらと輝く水溜まり。
昨日の雨が嘘のようだった。
だが、周りの世界は周りの世界でしかないようだ。
昨日と変わらず、走る車と歩く人は、私を見向きもしなかった。
ただ一人だけ、公園に遊びに来た児童が、そっと近づきにこようとしてくれた。
しかし、その親なのだろうか、汚いからと言って、その子を引っ張っていってしまった。
そんな日々が、数日続いた。
ある日のこと。
白いワイシャツを来たおじさんが、私に手を差し伸べた。
脂汗が額ににじんだ顔は、笑っているように見える。
彼は、どんな人間なのか。
敵か、味方か。
私にはわからなかった。
その日から、私は施設にはいることになった。
建物は、あの公園と違い涼しかった。
シャワーも浴びることができた。
そして何より嬉しかったことは、なにも気にせずとも、ご飯が食べられることであった。
感動して、久しぶりに泣いた。
あのおじさんは、こちらを見て微笑んでいる。
やっぱり、見方だったのかもしれない。
施設には、たくさんの、同じ身の上の者が居た。
だが、みんなやっていることは違った。
泣きじゃくる者。
怒って部屋をたたく者。
静かに寝ている者。
窓の外をぼーっと見ている者。
ただ、共通して言えることが一つ。
醸し出す雰囲気が、みんな同じだった。
静かに待っているようで、確かな重さを孕んでいる、それ。
何となく息苦しかった。
そんな中で、私には一人友達ができた。
隣の部屋にいる、同い年くらいの女の子。
彼女も、同じ公園で見つけられたということで、親近感もわき、すぐに仲良くなった。
ご飯も一緒に食べた。
夜には、一緒に夜空を見た。
だが、外の空は町の灯りの所為で、星の弱い輝きを消していた。
ここでも、空間を少し遮られてしまうとは。
少し悲しかった。
最初のコメントを投稿しよう!