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昼休み。
皆が思い思いに過ごしていると、外から救急車の音が響いてきた。
「近いね」
誰かが言う。
「うちの学校らしいよー」
教室に入ってきた人が言う。
「知ってる!さっき廊下で横峰が倒れたんだよ」
私は目を見開く。
「救急車ってヤバイんじゃない?」
「横峰くん病気持ちらしいしね」
(嘘でしょ・・・?)
***
学校が終わると、急いで病院に向かった。
『西野総合病院』と書かれた門をくぐり、中に入る。
「あのっ、横峰千歳って人います!?」
受付の看護師に尋ねる。
「さ、301号室です・・・」
私の迫力に圧倒されたのか、引き気味に答える看護師に礼を言って歩き出した。
病室のネームプレートには『横峰千歳』と丁寧な文字で書かれていた。
それを確認して、そっとドアを開ける。
「・・・・・・っ」
目に飛び込んで来たのは、たくさんの機械に埋もれるようにして目を閉じた、千歳くん。
私は立ちすくんでしまう。
「ちとせくん・・・」
それでも足を動かして、側にいく。
顔は白く、目は開かない。
心電図のの『ピッ』という音だけが、生きていることを告げてくれていた。
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