2/10
9人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
高校の入学式。 「新入生、起立」 もう何度目か分からない起立。 (いいかげん疲れたなー) 先生の話すのをぼんやりと聞いている。 (あとどれくらいで終わるのか・・・) そんなことを思っていると、隣の人の気配がすっと消える。 「・・・・・?」 そちらを見ると、座り込む男子。 顔は俯いていてよく分からない。 「横峰、大丈夫か」 慌てた様子で先生が駆け寄ってきた。 横峰というらしい男子は、先生に連れられて体育館を出た。 (貧血かな) そう、ぼんやりと思った。 *** 入学式も終わり教室に戻ると、も横峰くんも教室にいた。 私は、自分の席ー横峰くんの後ろに座って話しかける。 「さっき大丈夫だった?」 「あぁ、うん」 まだ何となく顔色が悪いながらも平気そうだ。 「私村岡明日佳(むらおかあすか)!あなたは?」 「横峰千歳(よこみねちとせ)」 「さっきはびっくりしたよー。急に座り込んじゃって」 私はおどけた調子で言う。 「ごめん、よくあるから気にしないで」 千歳君は苦笑する。 「よくあるの?」 「・・・体弱いんだ」 少し間を空けたのがなぜか気になった。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!