9人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
高校の入学式。
「新入生、起立」
もう何度目か分からない起立。
(いいかげん疲れたなー)
先生の話すのをぼんやりと聞いている。
(あとどれくらいで終わるのか・・・)
そんなことを思っていると、隣の人の気配がすっと消える。
「・・・・・?」
そちらを見ると、座り込む男子。
顔は俯いていてよく分からない。
「横峰、大丈夫か」
慌てた様子で先生が駆け寄ってきた。
横峰というらしい男子は、先生に連れられて体育館を出た。
(貧血かな)
そう、ぼんやりと思った。
***
入学式も終わり教室に戻ると、も横峰くんも教室にいた。
私は、自分の席ー横峰くんの後ろに座って話しかける。
「さっき大丈夫だった?」
「あぁ、うん」
まだ何となく顔色が悪いながらも平気そうだ。
「私村岡明日佳(むらおかあすか)!あなたは?」
「横峰千歳(よこみねちとせ)」
「さっきはびっくりしたよー。急に座り込んじゃって」
私はおどけた調子で言う。
「ごめん、よくあるから気にしないで」
千歳君は苦笑する。
「よくあるの?」
「・・・体弱いんだ」
少し間を空けたのがなぜか気になった。
最初のコメントを投稿しよう!