CHAPTER:1

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先程まで並んで飛んでいた機械鳥達に別れを告げると、目の前に、シップの発着場である巨大なステーションが姿を現す。 ブルはスピードを緩めると、徐々に高度を落とし、舗装されたステーションの敷地内へと入って行く。 調度、帰宅の時間なのだろうか。 広大なステーションの敷地内は、人間以外にも、他の惑星やコロニーに働きに出ていた様々なアンドロイドやサイボーグ達で賑わっていた。 彼らアンドロイドやサイボーグは、主に宇宙探索を初め、コロニー建設や未開惑星開拓、そして、遙か昔に起きた戦争の影響で、荒廃してしまった地球の再開発など、人間には到底立ち入れないような危険な区域での作業に従事している。 彼らも人間同様に自我や感情を持っていて、自らの意志で行動している。 だが、イドと呼ばれる原始的感情だけは与えられていない為、自立心が芽生えることは無く、人間に依存し、与えられた使命を全うする事だけが唯一の生きる手段だと信じ、人間に貢献する事こそが自らにとっての幸せだと思っている。 だが、彼らの中にも積み重ねた経験や記憶からイドに目覚める個体も存在する。 ブルやレッドがそうだ。 イドを得たアンドロイドやサイボーグは、人間に依存せず自らの力で生きることを覚える為、与えられた使命を離れ、人間と同様の職に就く者が多い。 イドに目覚めると、自立心を得ると同時に、反抗心や攻撃的衝動も得ることになる為、犯罪や叛逆を起こす個体も少なからず存在する。 それがバグである。 ブルはスカイモービルを停める為に駐車場へ向かう。 この駐車場は有料制だ。 ブルが指定された金額を投入するとゲートが開いた。 所定の位置にスカイモービルを停めると、二人はステーションへと向かった。
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