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ステーション内に入ると、ブルは簡単な搭乗手続きを終えた。
次はボディチェック等の保安検査を受けなくてはいけないのだが……
金属探知機の警報音が鳴り響く。
(あぁ、やっぱりこれか……。)
レッドは、やれやれと言った表情で自分のサイボーグ化した右腕を見る。
「毎度の事だな。」
「オ客様ハ、モウ一度コチラデオ願イシマス。」
サイボーグ係官がやって来て、レッドをサイボーグ用の検査機に通す。
(めんどくさいなぁ。)
「いっそのこと外して荷物と一緒に預けちまえよ。」
(やだよバカ。)
「異常アリマセン。ゴ協力ニ感謝シマス。」
その後は出星審査も無事に終えて、他の乗客達と共にシップに乗り込んだ。
これらの手続きは、あくまで宇宙空間における船内でのトラブル防止用であり、個人でシップを所有していれば、何の審査も受けずに、自由に惑星やコロニー間を行き来する事ができる。
「本日はご搭乗ありがとうございます。間もなく中華コロニー行きの便が出発します。」
アナウンスが言い終えると、シップは垂直離着陸用スラスターの圧で上昇する。
「お前、ほんとにシップに乗るの好きだよなぁ。」
ブルが、目を輝かせて窓の外を見ているレッドに言う。
(むしろ好きじゃなかったら毎回二重の保安検査なんか我慢できない。)
窓から見えるステーションの建物と白いビル群を赤い大地に残して、視界はどんどん上昇していく。
やがて成層圏に突入すると、窓の外がオレンジ色に発光する。
しばらく、そのオレンジに輝く光を眺めていると、急に窓の外が暗くなり、重力から解き放たれた。
宇宙だ。
無数の星が散りばめられた暗闇には、様々なシップが行き交っていた。
レッドがキラキラと豪華に輝く客船に目を奪われていると、目の前に巨大なリング状の物体が現れる。
「タンホイザーゲートだ。」
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