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コロニーの発着場では、宇宙服を着た何人もの作業員が、ハッチから入ってくるシップを出迎えた。
火星のステーションとは随分と雰囲気が違う。
作業員達に誘導されながら、ゆっくりと停止位置へ向かい、所定の場所に着くと、前方の二人の作業員が両手で停止を促した。
「お疲れ様です。」
シップの搭乗口前で、作業員が次から次へと降りてくる乗客達に挨拶をしている。
二人はシップから降りると、他の乗客達と共に発着場のエレベーターに乗り込み、市街地を目指した。
エレベーターから出ると、他の乗客達は皆、各々の目的の為にバラバラの方向に歩き出す。
周囲に目をやると、そこは銀河系の魔都と呼ばれる大都市だけあって、ただ立っているだけでも目が回るような人ゴミ。
そして見渡す限りの摩天楼だ。
上空では様々な乗り物が飛び交い、ありとあらゆるビルや看板からは、空中ディスプレイが展開されて道路標識や店舗案内の役割を担っていた。
真正面に位置する高層ビルの外壁に設置された巨大モニターから流れている映像は、どうやら日用品のTVコマーシャルのようだ。
「すっげ…。」
見たこともないような光景と、大勢の人々の賑わいにレッドは感動している。
「まぁ、今までにお前と行った事がある惑星は、どこもコロニーに比べると発展途上だったからな。」
惑星を開拓するには、物資の搬入に手間がかかる上に、作業に当たるアンドロイドやサイボーグ達が生活できる環境を整えなくてはいけないので、莫大な費用がかかる。
その為、コロニー等の宇宙施設と比べると開発が遅れているのだ。
「そう言えば火星から出るのも随分久しぶりだな。」
ブルのように自家用シップを所有していないデバッガーは珍しくない。
恐ろしく維持費がかかるのだ。
大抵のデバッガー達は身の回りで済む仕事をこなして生計を立てている為、実入りが少ない。
自家用シップを駆り、銀河を股に駆けるデバッガー達は皆、名の知れた大物ばかりなのだ。
「さて、目的地まではバスで向かうとするかね。」
辺りを見渡すがバス停と書かれた看板は見あたらない。
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