CHAPTER:2

3/13
前へ
/135ページ
次へ
「本当か!?」 「うん。忘れたけど。」 爽やかな笑顔で言い切る女を見て、ブルは両肩をガクッと落とした。 「キミは……どこから来た?」 今度はレッドが聞く。 「わからない。昨日から何も思い出せないの。」 どうやら本当に頭の中身が残念な事になっていたようだ。 何処かに頭でもぶつけたのだろうか。 昨日までの記憶が無いらしい。 ブルは、この残念な女を、さて、どうしたものかと眺めている。 アンドロイドやサイボーグには通常、人間と区別する為、出荷時に左の首筋にバーコードが打たれる。 これをバーコードリーダーに通せば製造元や本来の目的が分かる仕組みだ。 だが、この残念な女にはバーコードが打たれていない。 果たして人間なのだろうか。 「じゃあ……何でこんなとこをうろついてるんだ?」 やれやれといった様子でブルが聞くと、 「わからない。ただ、どこか遠い所に行かなきゃいけない気がして……。」 この残念な女はおそらく、それが何処かも分からないのだろう。 「こりゃ相手にするだけ無駄だな。情報ありがとよ。行くぞレッド。」 (待てよ、置いて行くってのかよ?) ブルは残念な女に背を向けると、片手をヒラヒラと振ってその場に後にする。 (オレたちも暇じゃないからな。仕方ないか。) レッドも少し名残惜しそうにしながらもブルに続く。 「ちょっと待ってよー!」 残念な女が早足で追いかけてくる。 それに合わせてブルとレッドも早足になる。 「ねぇ、待ってってばー!」 残念な女が走り出した。 こうなると、さすがに少し可哀相だと思っていたレッドも、若干うっとおしく感じているようだ。 ブルとレッドも残念な女から逃げるようにして走り出した。 「ねぇ、何で逃げるのよ!こんな怖いとこに女の子を一人で置いていくつもり!?」 残念な女は最早、全力疾走で後を追ってくる。 既に半べそだ。 「今までずっと一人で怖かったんだから……あっ!!」 背後でドサッという音が聞こえた。
/135ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加