CHAPTER:0

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相手が着地する瞬間を見計らって、ブルは体勢を低くし、振り向き様に水面蹴りを繰り出すと、まだ着地の衝撃を吸収しきれていなかった不安定な足元を的確に捉えた。 「………っ!」 バランスを崩した相手は仰向けに倒れるも、拳銃を構える暇さえ与えず、背中の反動で跳ね起きる。 一瞬遅れで銃口を向けるも、まるで居合いのように繰り出された蹴りに弾かれてしまった。 「ちっ……格闘戦じゃ分が悪いぜ!」 手元から離れて、闘技場の石畳の上に叩きつけられた拳銃は、飛び跳ねながら音を立てて滑る。 慌てて追いかけるブルだが、相手に背を向けた瞬間、右肩に重い衝撃がめり込む。 「ぐあっ…!」 相手が繰り出した胴廻し回転蹴りをモロに受けてしまったのだ。 悲鳴を上げる右肩をおさえる間も無く、そのまま左方向に押し倒されてしまった。 小柄な相手だが、あと少し体重があれば間違いなく、ただでは済まなかったであろう威力だ。 急いで相手を視界に捉えると、既に空中からサイボーグ化した右腕を振りかざしていた。 ただならぬ気配を感じたブルは、すぐさま回避行動に移る。 振り抜かれた右腕の甲からは、爆発音と共に鋼鉄の杭が飛び出し、硝煙を纏った廃莢が排出される。 間一髪で地面を転がって回避したブルが目にしたのは、相手の右腕のギミックによって、まるで煎餅のように突き砕かれた石畳だった。 「ちっ……。」 相手は舌打ちをすると、腰カバンから取り出した起動用の炸薬を右腕に装填した。 「パイルバンカーは反則だろ!」 拳銃めがけて一目散に逃げるブル。 後もう少しで手が届きそうなところで、取らせまいと先回りした相手が拳銃を更に遠くへと蹴飛ばす。 だが勢い良く飛び出したブルは、なんとか拳銃に追い付く事に成功し、手に取ると、そのまま地面を数回転げ回って背中から壁にぶち当たり、銃口を相手に向けると同時に引き金を引いた。
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