CHAPTER:1

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そう言ってボブは一方的に通話を切った。 「マジかよ……本来なら俺は、ヤバイ仕事には手を出さねぇ堅実派なんだがな……。」 ブルが頭をボリボリと掻きながらぼやく。 (ヤバイ仕事か……楽しみだな。) 一方、レッドは目を輝かせていた。 「お前は内心ワクワクしてんじゃねーよ!」 (勝手に人の心を読むなバカ。) すると、着信音が鳴り、電話が一件のメールを受信した。 「ボブ爺さんからだ。どれどれ?」 名前:ジェントルマン(仮) 賞金:300.000C 内容:対象の捕獲。 備考:性格は紳士的かつ社交的。高い言語能力を持つ。戦闘能力は未知数。2日前に中華コロニーのスラム街にて目撃情報有り。尚、殺害しても構いませんが、頭部を破壊した際には賞金は授与されません。上記を達成後は、こちらから回収に向かいますので、こちらの番号まで連絡して下さい。 〔※※※※※※※※〕 画像: そこに写っていたサイボーグの男は、わりと人間に似せて造られていて、黒いシルクハットに黒いスーツ姿という、いかにもエセ紳士といった風貌だ。 その目に瞳は無く、青く不気味な輝きを放っていた。 「30万クレジットねぇ……えれぇ大金じゃねぇか。こんなエセ紳士の何処に、こんな値打ちがあるんだか。」 (確かに、見るからにエセ紳士だ。) この世界の賞金の相場は、殺人を犯した凶悪なバグでさえ、通常は10万~20万クレジットと言ったところだ。 1クレジットの価値は、21世紀の日本円で10円に値すると考えていい。 「中華コロニーだったら、そんなに遠くないな。火星付近のタンホイザーゲートから直通してるし、ステーションからシップに乗ればちょいだ。すぐに出れるか?」 レッドが頷く。 タンホイザーゲートとは、宇宙探索やコロニー建設にあたるアンドロイド、サイボーグ達が、宇宙空間に築き上げた、次元波動超弦励起縮退半径跳躍重力波超光速航法……つまり、ワープを可能にした装置だ。 リング状のゲートをくぐることで、スペースシップごと亜空間で包み込み、時間と空間を飛び越える事ができる。 「じゃ、ちゃちゃっと準備して出発するぜ。」 (アイアイサー。)
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