鎌鼬村殺人事件file1

2/6
前へ
/56ページ
次へ
深い山道を抜けると、小さな村が見えてくる。 それが鎌鼬村。 まだ暑さの残る季節に二人はその道を歩いていた。 「あちぃ…」 「もぉ、さっきからそればっかり。 椿ちゃんに会いに行くんでしょ?」 「椿…か。」 「迎えに来てくれる事になってるんだよね?」 「あぁ……。」 会うのもあんな風に手紙を受け取るのも久しぶりなだけに少し不安も残る。 今自分は、推理漫画や小説の主人公の用に色んな場所で事件に巻き込まれる宿命を持ってしまった。 そんな大きな環境の変化が、今自分を大きく変えている。 椿はどうだろうか? 住む環境が変わって、ちゃんと馴染めて居るだろうか? あれから随分と会ってないだけに、大きな変化が起こって無ければ良いのだが…。 等と考えながら歩いていると、何処からか自分達を呼ぶ声が聞こえて来た。 「ねぇ、あれ! 椿ちゃんじゃない!?」 「あっ…。」 「りゅーちゃん! 華夜!」 嬉しそうに手を振るその人こそ、高岡椿。 俺と華夜の幼なじみである。 「二人共久しぶり! 中々手紙出せ無くてゴメンね。」 「ううん、大丈夫だよ。」 「二人共凄く大きくなったね! ビックリしちゃった!」 「椿ちゃんもだよ!」 「りゅーちゃんも大きくなったねー。」 セミロングの髪に半袖シャツと半ズボン。 ボーイッシュな出で立ちは昔と全く変わらない。 「昔はもっと髪短かったよな?」 「うん、昔は男子と同じくらいだったよね?」 「そうそう、今の華夜と同じくらいだったよね。 どうしたの? あの時はロングだったのにー。」 「あっ…はははは…。」 「そろそろ行こうか。 婆ちゃん達待ってるし。」 「あぁ。」
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

50人が本棚に入れています
本棚に追加