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見渡す限りの本、本、本――。
壁は一面本棚で埋め尽くされ、通路にも多くの本棚。
あたりは薄暗い。外は夜である。
室内の照明は、点いていない。本が傷むのを最小限に防ぐため、夜の閉館時間は灯りを点けないことにしているのだ。
では、なぜ薄暗いのか。
その光は、部屋の入口の傍、小さいけれど重厚なドアのついた保管室から漏れていた。
光の正体は、一人の少年が左手に持っているランプである。
少年は、淡い群青のつなぎを着ていた。
清掃員、名をリゲルと言った。
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