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「ヤバい、早く作業を終んないと、月が昇る」
保管室の中は、意外にもかなり広い。
棚に並んでいるのは、やはり本だ。
しかし、広い部屋にある本とは少し違った。
そのに並んでいるのはどれも、表紙の装飾が豪華なものばかり。
普通の本の2、3倍は分厚い。
また、中央にあるガラスケースの中に展示されているものもあった。
こちらは更に豪奢な装飾である。
そしてその本の周りには、丁寧に鎖が巻きつけてあった。
遥か昔から、繰り返される人間の歴史をずっと見てきたかのような・・・見る者を惹きつける雰囲気を醸し出す本だった。
「ったく、なんでこんな遅くまでかかるんだよ。司書長の奴、俺一人にこんな量の仕事押し付けやがって。終んないじゃん」
リゲルは、独り言をブツブツと呟く。
こうでもしていないと、暗闇で独りきりなのはあまりにも気味が悪い。
厳重に封印されているといっても、何が起きるかなんて、誰にも分かるものか。
保管室の入口、ドアの近くには極太の鎖と南京錠が落ちていた。
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