序章:すべての始まり

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ガサッ。 「!?」 いま、暗闇で何か動かなかったか。 みるみるうちに、汗がどっと噴き出してくる。 心臓が全力疾走している。 リゲルは、作業を中止して後ろを振り返った。 「…っ」 ――――何もいない。 気のせいだったか。 ホッと安堵し、大きく息を吐き出す。 だが、途端に周りが気になってしかたない。 どうするか。 「…帰ろ。せいぜい明日、司書長に説教くらう位だ。何かあるより、ずっとマシだな」 そう言って、勢いよく立ちあがる。 そうとなっては、ここに長居する必要は全くない。 急いで片づけを始めた。 遠くにあるハタキを取ろうと手を伸ばした時。 ガッ!! 「…っっ!」 足元にあったモップを、思い切り蹴ってしまった。 そのままバランスを崩して、倒れこむ。 その時に思わず、助けを求めて両手が宙をかく。 バサバサバサッ! その左手が、本棚の本を次々と床に落としていく。 「わぁ…っ!!!!」 その中の一冊が、運悪く真ん中のガラスケースにぶち当たった。
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