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少し会話をして、帰ろうとする。
「それじゃあ桜井、俺そろそろ…」
「りっくん、瑠奈(るな)って呼んでよ」
ふいに桜井が言い出す。
「瑠奈?」
「うん、わたしの名前」
桜井の名前。
女子を名前で呼ぶなんて、それって…
「え…いいのか?」
「だってわたし、りっくんて呼んでるし」
ね?お願いっと顔の前で両手を合わせる桜井。
まあ、桜井がそういうなら……
「…じゃあえっと、瑠奈?また来るな」
名前を呼ばれて、ぱあっと明るく笑う瑠奈は、本当に嬉しそうだった。
なんだかこっちまで嬉しくなって、家に帰ってもまだ俺はなんだかふわふわしていた。
寝る直前、俺は思った。
違和感があったからだ。
桜井は、瑠奈という名前だっただろうか?
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