FUWAFUWA KARAKARA

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「アキラー!!いるー?あそぼー!!」 茶色のふわふわした巻き毛をなびかせてファビアナは今日も勝手に工場へ乱入して来る。 「ファビ!!駄目だよ!!勝手に入って来ちゃ!!」 「えー!!だってアキラだって勝手にいじってるじゃん!!」 「俺はいいの!!俺んちなんだからっ。」 小学校一年生の頃だった。近所に特に友達もいなかった俺は学校が終わると一目散に家に帰り、庭の隅で遊んでいた。 親父の小さな煉瓦工場から漏れ聞こえてくる有線放送。次々と吐き出される廃棄物。割れた煉瓦の山。崩れた煉瓦の破片。オレンジ色の砂の粒。 俺はひたすら煉瓦の破片を、並べ、積み上げ、壊し、また積み上げる。 こうして「何か」を作っていれば、いつか「何か」ができるんじゃないかと、そんな風に思っていた。 「私も手伝う!!」 一つ年下のファビアナはイビツな破片を無造作に乗せてしまう。煉瓦の塔は直ぐ様崩壊した。 火がついたように泣き出す彼女をなだめ、もう一度煉瓦をかき集める。 「ほら、ファビ見てみろ。ハァト型あった。」 偶然見つけた小さなハート型の破片。手にした彼女は途端に瞳を輝かせはしゃぎ出す。 「わぁい!!ハァト!!ハァト!!もらっちゃったー!!」 五秒前までは泣いていたのに。あきれながらも俺は、満面の笑みで飛び跳ねる彼女に見とれていた。
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