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神社の境内の石段に座る小さい二つの影。
するとその場所へどーんという音が空気を震わせて届いてきた。
「なぁ見ろよ千紘!!この場所、言った通り綺麗に花火が見えるだろ!」
一人の少年は隣の少年にそう言って無邪気に笑っていた。
しかし千紘と呼ばれた少年は下を俯くばかりで顔をあげることはなかった。
「おい千紘大丈夫か?どこか具合悪いのか?」
心配そうに千紘の顔を覗きこむ少年。
「ごめん…大丈夫…」
千紘はそう言うと顔をあげ微笑む。
しかしその顔は少し青ざめていた。
「ほんとに大丈夫…音が怖いだけだから…」
「大丈夫じゃないだろ!!全く、ほら…」
そう言って手を差し出す。
「怖いなら手ぇ繋いでてやるよ」
そう言う少年は少し顔を赤らめながらギュッと千紘の手を握った。
「ありがと…」
二人は手を握ったまま花火を眺めていた。
それから数十分が経ち花火も終わりが近付いてきた。
「あのさ…千紘…千紘は俺の事好き?」
「うん大好きだよ!!」
「じゃあ俺と結婚してください!!大きくなったら俺がまた千紘にプロポーズするからそれまで待ってて!!」
「うん…分かった!」
「じゃあ約束!!」
そう言って二人は指切りを交わした。
その二人の姿を花火が照らしていた。
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