好きになりまして

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迫ってくる不良をそいつはひらりと交わしその背中に足を振り落とす。 その行為を数回繰り返したら次は、風を切るように相手の前まで走りそのまま勢いをつけて拳をぶつける。 その姿は美しかった。 動くたびに揺れる少し長めの白銀の髪。 しなやかに動く肢体。 まるでダンスでも踊るかのように華麗なステップを踏んでいる。 俺はそいつから目が離せなかった。 30分いや下手をすれば10分も掛からなかったかもしれない。 10人以上いたはずの不良達は一人残らず地面に倒れ込んでいた。 その中央にぼっーと立ち今にも眠ってしまいそうなそいつを除いて。 「あーあ…終わっちゃった…俺の睡眠時間奪うくらいならもう少し粘ってよ」 その言葉だけがその場に零れた。 「ふぁぁ…もう帰るか…」 そう言ってそいつはその場から立ち去った。 そいつ…確か赤城と不良が呼んでいた気がする…。 (何だろう…この気持ち…) トク…トク…と高鳴る鼓動。 俺は赤城の姿が脳裏からこびりついたように離れなかった。
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