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それを眺めているうち、空調では抑えきれない太陽の熱が窓越しに頬を包んで、誰かの手のひらを思わせるあたたかさに、二葉は弛緩した瞼を閉じた。
誰に向けられるでもない甘えた微睡みは、ここにはいない誰かへわけもなく語りかけるように幼くて懐かしい。せめて夢でも見られたらいいと、半ば眠りつつある意識の片隅で二葉は思った。
優しい夢がいい。
次に目を覚ますときにはきっともう夕方近いのだろうから、それを悔やまずにすむほどの夢。
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