2人が本棚に入れています
本棚に追加
二年後、清華は第一志望の大学に合格した。
他県にあるので、家を離れる必要があった。
清華は荷物を車に詰めると、地下室に行った。
「ヨシオ、あたしこの家を、しばらく離れるわ」
いつもの二倍くらいの遅さでブロックが浮き上がった。
「どのくらい」
「夏休みには帰ると思うから、そんなに長くないわ」
「僕はその間何をしていれば良いの」
「好きにしていればいいよ」
「詰まりボーッとしてろっていうの」
清華はたじろいだ。
「しょうがないじゃない。向こうにあんたを持っていくわけにはいかないでしょ」
ブロックは動かなかった。
「ごめんね……しょうがないのよ」
清華は水槽の蓋を撫でた。
「じゃあ。さようなら」
ブロックが僅かに動く。
「夏休みまでには彼氏を作っとくわ」
清華は少しでも雰囲気を明るくさせようと、冗談を去り際に言った。
水槽がガタガタと揺れ始めた。
最初のコメントを投稿しよう!