俺=私

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「得点通知表返すぞー。」 先生がそう言ったのが聞こえた。皆はガヤガヤしてる。俺だけ、一人読書してる。あ、前に座ってるむんちゃんは一人でぼーっとしてる。 やけにさ、浮いてるように見えるんだよね。俺はこの教室の中で、生きてられてんのとかさ。思うんだよ。 「何点だった?」 むんちゃんが後ろを振り向いて聞いてきた。 俺は本を読みながら 「123点。すごいだろ。わんつーすりんだぜ?」 なんて言ってみせた。 「それすごいのか?うわー。でも負けたわ。」 むんちゃんはニタニタと笑った。けんちゃんはちっちゃくて、男前。いや、そんなにカッコよくはないけど。でも俺はカッコイイと思う。けんちゃはよくわからん。 女の俺から見ても、よくわからん。 女だから?俺って言っちゃうのは心の中だけ。皆には教えないけど。
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