日常

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愛車にまたがり職場へ。 『おはようございます。』 いつからか相手から先に挨拶されるようになり、道も譲られるようになった。 就職して8年目。 ここがあたしの全てだった。 『石居さん、すいません。昨日の会議、みなさんのスピードについていけなくて、結局どういう…』 じぶんでも眉間にシワがはいるのがわかる。 『わからなかったら、どうして昨日のうちに聞かなかったの? あなたも同じチームの一員なのよ』 (言っちゃった…また厭味くそはばぁになっちゃった。 若者よ、厭味言うたびに自己嫌悪になるおばちゃんの気持ちわかってるかー。) ため息を気づかれないように吐いて、気持ちを切り替える。 『でも、聞き辛いのにきちんと「わからない」と言ってエライよ。 あの会議ではね…』 必死にメモをとる、若者代表、坂部。 あたしが話終わると笑顔をむけて話しだした。 『そういうことだったんですね、ありがとうございました。 あたし、まだなにか抜けてるところありませんか?』と…。 (仕事をいつまで与えてもらうつもりだ!もう4年働いてんだろ!) なんてこともお腹に力を入れて笑顔で蓋をする。 『発注かけた?データ集めてあるならPDFにして送らないと間に合わないんじゃないい?』 しまった!という顔をしたってことは…やってないな。
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