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「さて、本題だけど」
「何でしょうか、私にできることなら良いのですが」
苦笑しながら微笑む彼に、目隠しの布を取り去って裸眼で見つめる
彼が息を飲むのがわかった
そりゃそうだ、僕の目は赤色、血の色なんだから
「君、呪いに侵されてるでしょ?その呪印が見たくてさ」
彼はゴクリと焦った表情をしていたが、やがて諦めたのか浅く息を吐き出す
「……わかりましたよ」
彼は上着やら服を脱いで後ろを向いた
左の肩甲骨あたりに花の刺青のような呪印が刻まれている
あたりというのも、肩甲骨から腰に掛けて植物と化していたからだった
「華腐呪印ね、またマイナーな呪いだなぁ」
「……ディアスやリーアには秘密にしといていただけますか、私はもう助からないでしょうし」
なるほど、僕の条件をあっさり飲んだのはこの呪いがあったからか
ひとり納得して、彼の植物になりかけている身体に触れる
「っ!」
「ああ、感覚あるんだ」
触れた瞬間びくりと身体を揺らした彼にごめんごめんと謝る
「誰にも言わないから安心しなよ」
「ありがとうございます」
ホッとしたのか息を吐いた彼の身体をじっくり観察する
華腐呪印なんて滅多にお目にかかれないからね
「ちょっと、見せてね」
「ええ、構いませんよ」
一通り観察したあと、呪印の上に手を添える
そのまま、呪印の中に手を突っ込んだ
「……っ!ちょ、何をっ!」
「華腐呪印の本体も感覚あるんだねぇ、まったくもって不思議だなぁ」
いままでおとなしかった彼が、大慌てする
「大丈夫大丈夫、落ち着いて。 べつに悪化したりなんてしないから」
「は、はい…」
ちょっと大人しくなった彼ににこりと微笑んだ
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